SML/Spontaneous Music Live (LP")
SMLは、Anna Butterss, Jeremiah Chiu, Josh Johnson, Booker Stardrum, and Gregory Uhlmannからなる、ロサンゼルスを拠点とする5人組バンドです。
”Spontaneous Music Live”には、2025年12月にロサンゼルスのライブ・ハウス”Zebulon”で行われた3夜連続公演で録音された、編集なしの即興演奏2曲が収録されています。この公演は、バンドのセカンドアルバム”HOW YOU BEEN”のリリースから僅か数週間後に行われています。この作品は、Bryce Gonzales(Jeff ParkerのETA IVtetの素晴らしいライブ録音&ミックスで知られるエンジニア兼魔術師)によって、ステレオ・テープへライブ録音&ミキシングされたものです。
どちらも大幅な編集、加工、ポストプロダクションが施されている”HOW YOU BEEN”と2024年のデビューアルバム”SMALL MEDIUM LARGE”を経て、バンドは融合的で洗練された、力強いサウンドの作品で高い評価を得ています。それらのLPでは、SMLのポスト・モダン的な側面が余すところなく表現され、バンドのポスト・プロダクションにおける巧みな編集作業が、作品の視点を大きく左右していると言えるでしょう、、、最も味わい深い断片を厳選し、巧みに配置し、再構成しているのです。
しかし、それらのアルバムの元となる素材は、いずれも、長尺で、扱いにくく、浮き沈みのあるライブ録音です。更に、このバンドがこれまでに披露してきた全てパフォーマンスは、その精神に基づき、完全に即興で演奏が行われています。その為、ライブ・パフォーマンスの分野において、このバンドの評価は、直情的で催眠的な膨張という、アルバム作品とは異なる道筋を辿り高められています。これは、SMLを最も奮い立たせるコンセプトを共有した先駆者にも見られる、ある種の二面性と言えるでしょう、例えば、1973年のCanの”Live in Paris”の狂気じみた展開と、同年発表の”Future Days”の比較的引き締まった構成、Miles Davisの”Dark Magus”のスピードファンクの混沌と、”On The Corner”や”Big Fun”の徹底的で解体的な構成を比べてみれば、その違いが分かるはずです。
”Spontaneous Music Live”は、キュレーター的な視点を排除し、編集プロセスの”探求”、”摘出”、”再構築”という舞台裏を明らかにしています。残るのは、バンドが地元、その場で即興演奏に没頭し、発見の瞬間を掘り起こそうとする、彼らのサイケデリックなリアリズムです。”無秩序”と”コントロール”が入り混じる中で、将来のSMLアルバムの楽曲の土台となるであろう音の断片が、まるで夜空の星のように、マクロな視点で散りばめられているのが感じられます。