Butch/Glory Night (12")
Butchの音楽は、常にディスコの影響を堂々とその袖にまとっているのは明白です。彼のメガヒット作”No Worries”とRunning Backカタログへの最初の作品”Desire”はどちらも、本質的には現代のディスコのレコードと言えるでしょう。そして、このレーベル復帰作”Glory Night”も同様で、ビンテージ・エンジニアリングとオーセンティックなオーラル・トリートメントにより、より一層その傾向が強まっていると言えます。ディスコ特有のサウンドを備え、70年代後半の失われたディスコ・エディットのようなアレンジで、Butchは現代のダンサーが求めるローションやポーションを駆使し、紙吹雪、爆竹のようなブレイクダウン、そしておまけでリズム・セクションのボーナス・ツールを収録し、彼ならではのピーク・タイム・センセーションを巻き起こしています。B面に収録している”Just Chill”と”Just Fly”もその流れを引き継いで、前者はR&Bやファンクのサンプルを好む層にアピールしますが(制作過程で音源には一切手を加えていません)、非常にキャッチーで、誰もが逃れられない大渦を巻き起こします。一方、”Just Fly”はディープハウスの要素を取り入れ、瞑想に耽る空間を創り出しています。いずれにせよ、ジョルジオ・モロダーの言葉を借りれば、”ディスコは踊るための音楽であり、人々はいつだって踊りたがる”、即ちこのEPに収録した全てのトラックは、どんなフロアでも、どんな時間でも楽しめるでしょう。