Romare/Oblivion (2xLP")
Romareは磨き抜かれたサンプリング技術を駆使し、現代の不吉な予兆を描き出した5枚目のアルバム”Oblivion”をリリース。これまでの4枚のアルバムのうち3枚はNinja Tuneからリリースされています、ダウンテンポ、ブロークンビート、躍動感溢れるグルーヴ、そして物思いにふけるような情景を通して、Archie Fairhurstは、地球とテクノロジーの転換点、社会正義の為の闘い、そして私達の存在を支配する権力構造といった、現代社会が抱える大きな問いと格闘する物語を紡ぎ出します。トレードマークであるサンプリング素材は、これまでと同様に音楽史を遡る長い流れを描き出していますが、本作はRomareの現代的な視点を最も重視した作品です。
偶然に選ばれたものは何もない。”Machines”は、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの”Blessed Longing(至福の憧れ)”のドイツ語朗読に合わせて、脈打つような4/4拍子のリズムを響かせています。19世紀に書かれたこの詩は、人間の本質を深く考察した不朽の名作で、今もなお真実味を帯びています。”Computer Love”は、古いコンピュータードキュメンタリーのサンプルから紡ぎ出したSF的な要素を散りばめ、贅沢なトリップホップの静謐な世界へと滑り込んでいく。この曲は、私達の生活の中に存在するデバイスとの複雑な関係性を、ほろ苦くロマンティックな背景として描き出しています。”Take Us”は、力強いブーム・バップのリズムに乗せて更に一歩踏み込み、Romare特有のテクニカラーなミュータント・ファンクを基調に、モニター画面に憑りつかれるという不思議な物語を展開します。
”Oblivion”が伝えるメッセージでも希望の余地を残し、禁酒法時代の酒場を思わせるような雰囲気の”Deeds, Not Words”では、女性解放運動の活動家達の力強さを社会正義と社会活動の基準として示し、迫りくる災厄に直面した時に積極的な行動が必要であることを示唆する、バネ仕掛けのようなアシッドハウス・ナンバー”Change”も収録されています。
アルバムのアートワークは、フェアハーストの思考プロセスを反映し、エドヴァルド・ムンクの象徴的な”叫び”、フィリップ・ハルスマン、サルバドール・ダリの”官能的な死”といった作品から着想を得て、アルバムのコンセプトを視覚的に表現しています。
”Oblivion”の荒々しい旅は、最後の魅惑的な”The Last Lullaby”へと突き進む。Romareの鮮やかで独創的な音の世界を巡る長編アルバムを通し、押し寄せる情報と感情の奔流を体験した後に、これほど完璧な鎮静剤となるものはないでしょう。