tanz music records

オリジナル・リリースから24年、Monolakeの代表作”Gravity”が、オランダのレーベル、Field Recordsの厚意により初のアナログ・レコード化を果たします。ダブ・テクノ、ミニマル、エレクトロニカの交差点で独自の空間を占めたこのアルバムは、驚異的なビジョンと技術力を備えた不朽の名盤で、エレクトロニック・ミュージックの永遠の大黒柱へと成熟しています。このエディションは、Monolakeのファースト・アルバム”Hongkong”のリイシューに続くもので、アルバムの主要設計者であるRobert Henkeによってリマスターされています。

ミレニアムの変わり目にリリースされた”Gravity”は、Monolakeにとって転機となった。共同設立者のGerhard Behlesが他のプロジェクトに移った為、アルバムの大半をHenkeがソロでプロデュースし、空間の探求と、プロジェクト開始当初から根底にあったダブに着目した原理を更に深く探求し、ディレイの格子を鋭く切り裂くパーカッションから、トラックを支えているサブリミナルなベースラインの催眠術的なパルスまで、ミニマリズムとネガティブ・スペースがアルバム全体を貫いています。”Gravity”はテクノの直線性を瞑想的な形で捉えた作品ですが、その澄み切ったミックスの透明感によって、リズムとサウンドのあらゆる微細な揺らぎが透き通っています。

2000年代初頭にリリースされた多くの余りにも独創性の乏しいデジタル音楽と比べると、”Gravity”は、Henkeのプロセスから引き出された温かみと質感のおかげで、例えビットリダクションといった最早、デジタル的でないエフェクトを駆使しながらも、色褪せる事なく健在しています。彼は、夜のスタジオから見えるベルリンの9階からの眺めが、レコードのサウンドに重要な影響を与えたと語っていますが、”Gravity”が描き出す空間は、ゾクゾクするほど不敵に感じます。時間と空間のスタンダートな慣習に縛られることなく”Gravity”は真のオリジナルとして誇り高く立ち、遂にそれに相応しい礼式にかなったレコード盤のプレスが実現しました。